ビットコインのオプション取引
こんにちは。ゆう(@yuu_kun00)です。
つい最近bitmexでビットコインのコールオプション取引が始まったようなので、今日はそれについて少し考察をしてみたいと思います! www.bitmex.com
(金融のことなんて全然知らないので、もし間違ったことを書いていたら是非指摘してくださいね!)
オプション取引とは
ググりましょう。だいたいこんな感じらしいです。 www.rakuten-sec.co.jp
儲かるのか?
これが一番大事なことですね!世の中は全て金です。金が全てです!
オプションの適正価格を推定する方法で有名なブラック・ショールズモデルなんかを使えば
(ブラック–ショールズ方程式 - Wikipedia)、理論的に価格を導出できそうですが、なんか難しそうなのでやめておきましょう。
なので今回はもっと簡単なアプローチで儲かる可能性を追求してみようと思います。
ビットコインの確率分布
そもそもビットコインの価格が幾何ブラウン運動に従うという仮定(ブラック・ショールズモデルの仮定)は適切でないと思うのです。これは実際に価格の変動率をフィッティングしてみればわかります。
取りあえずbitmexのXBTUSDの5分足データを使って、確認していきましょう。 以下のグラフが直近20日くらいの価格推移です(多分2018/4/9~2018/5/2のデータ)。5分おきに価格をサンプリングしたものを思ってもらって構いません。
説明をしやすくするために変数を導入しましょう。
まず時刻を、時刻でのビットコインの価格をとします。ここではただの整数です。0とか1とか2とか。上のグラフのx軸に合わせていると思ってください。
そしてその変動率を
と定義します。
この変動率を確率変数としてまず正規分布にフィッティングしてみると、、、
こんな感じになります。左図が確率密度分布、右図が累積確率密度分布、ヒストグラムが実際にデータ、黒線がフィッテイングした正規分布です。真ん中のピークが飛び出ているのと、左右のテールが違いますね。特にテールの違いは重要です。正規分布では大きな変動はほとんど全く起こらないと評価してしまうので、このような結果になるのでしょう。
次はファットテールを持つスチューデントのt分布にフィッティングしてみましょう(本当はレヴィ分布が良かったのですが、なぜかうちのpythonちゃんが動いてくれませんでした..)。 どうでしょう。図の構成はさきほどと同じです。違いは黒線がフィッテイングしたt分布ということだけです。先程より左右のテールを正確に表現しているうように見えないでしょうか。確率密度分布はピッタリあっているように見えます。(見えるだけ。傾きが急なので原点付近のズレを見事に隠蔽できている。)
まあ、とにかくビットコインの確率分布はt分布が適切ということにしましょう!
ちなみに「効率的市場仮説がー」とか思った人はあれです。ユージン・ファーマユージン・ファーマ - Wikipedia あたりとディスカッションしといてください。
ビットコインの価格推移シミュレーション
ビットコインの確率分布が判明したので、どのような価格推移をするのかモンテカルロシミュレーションをしてみましょう。(こんなのをモンテカルロっていったら本職の怖い人に怒られそう。)
価格推移を決める式はとっても単純で、
です。
時刻での変動率をとして価格がどんどん変化していくだけですね。
まず現在持っているデータ(上で使った5分足データ)に対してどのような結果になるのか確認していきましょう。
こちらがシミュレーションをした結果です。変動率は先程フィッティングしたt分布から乱数生成をしています。
ちょっとごちゃごちゃしていて見にくいかもしれません。黒線が実際のビットコインの価格、それ以外のいろんな色の線の1本1本はシミュレーションで得られた価格です。取り敢えず1000回ほどやってみました。
突然価格が大きく変化したりするのも再現されていて、なんとなく似ている結果が得られた気がします。気がするだけですが。
ちなみに変動率を正規分布にすると以下のような感じになります。
なんとなく、中央に価格が偏っている気がしますね。あと急激な価格変化もないし。やっぱり正規分布はダメなようです!(強引)
オプションの適正価格?
無事ビットコインの価格推移のシミュレーションができるようになったので、コールオプションで稼ぐために未来の予測をしていきましょう。
まず直近のコールオプションの満期は5月4日21時です。そしてストライクプライスは10250ドル。めっちゃ簡単に考えると5月4日21時にビットコインが10250ドル以上になる確率を求めればいいわけですね。(あとで、もっとちゃんと考察します!)
ではやってみましょう。5月4日21時までシミュレートしてみた結果がこちらです。
黒線が現在までの価格推移、それ以降のいろんな色の線が未来の予測値です。青い破線はコールオプションのストライクプライス10250ドルを示しています。今回も1000回シミュレ−ションしてみました。
結果を見て、僕は思いました。
「うん・・・。稼ぐとか無理じゃね・・・。」
1000回中1回だけ、奇跡的に10250ドルを超えていますが、ほぼほぼダメです。
しかし、取引履歴を見ると現時点でbitmexでコールオプションを買っている人は多数います。
「彼らはバカなのか? どうかしているのか・・・?」
と3秒くらい考えたところで気づきました。
オプション取引では権利の放棄ができます。ビットコインの価格は10250ドルを超えればオプションの権利を行使して、安く現物を買えばいいし、ビットコインの価格が下落したときは権利を放棄すればいいだけなのです。そのときの損失はプレミアム(オプションの価格)分に制限されます。
つまりリスクを抑えた現物買いのようなもので、単に価格が10250ドルを越えるか、超えないかを議論するだけでは不十分ということです。
金のために真面目にやりましょう。 今回考えているのコールオプションの価格を (ドル)とします。 すると満期の時刻をとして、損益は
のときは となり、のときに
となります。
(式が見づらいのははてなブログのせい!markdownだとtexが書きづらいんじゃ!) よくあるオプションの利益の式と全く同じですね。 価格が10250ドルに到達しない場合に損失が制限されているのがオプションのメリットなわけです。 ちなみに損益分岐点はですね。グラフを書くのはめんどくさいので勝手に想像してください。
ここまでくればあとは、先程の同様のシミュレーションをして、利益の期待値を計算するだけです。 オプションの価格は0.004XBT(0.1枚)くらいだったので、一枚辺りの価格をドルに換算して0ドル〜900ドルの範囲で計算してみました。 シミュレーション回数は一つのオプションプレミアム辺り100000回です。 横軸がオプションプレミアム、縦軸が利益です。結果は確率的に分布しているので、黒線は利益の期待値、色の付いている範囲でを表しています。 下の図は上の図の超左側の拡大図です。
結果としては
おっふ・・・
ですね。オプションがほぼ0ドルで買えない限り利益は出ないようです。
というよりは、奇跡的に価格がぶっとんで10250ドルを超えないとだめなようです。そりゃそうかっていう結果でした。
おそらくストライクプライスの10250ドルが高すぎるのでしょう。
アンカーマーケットメイカーとかいうやつだけコールオプションのショートができるようなので、やつらが利益を貪る仕組みになっていそうです。
そもそも超大口しかアンカーマーケットメイカーにはなれないはずなので、いざとなれば満期直前で価格操作もされてしまいそうです。
まあ買うのはやめておきましょう・・・。
まとめ
結論としては、
- 全然儲からない。
- ストライクプライス高すぎ問題。
- アンカーマーケットメイカー有利すぎ問題。
です!
あとはビットコインのショートとコールオプションのロングを組み合わせるとおもしろい損益曲線が書けたりするのですが、ストライクプライスが高すぎて期待できるような利益はでない気がします。
ここらへんはもし気分が乗ったら別に書こうかなと思います。
長ったらしい内容をここまで読んでくださってありがとうございました!
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